漆のくろめ作業に挑戦

ウルシノキから採集した生漆は、精製することにより上塗や中塗などに使える漆になります。
当社では通常漆器組合の精漆工場で精製していただいておりますが、先日中塗上塗班の3人が精漆工場の場所をお借りして、自分たちの手で漆を精製する作業を体験しました。

漆くろめ漆の精製は、「なやし」と「くろめ」の2つの作業になります。「なやし」とは漆を撹拌して粒子を均一にし艶を調整すること、「くろめ」とは漆に熱を加え水分を飛ばすことを指します。

かつては漆の精製は、夏場に太陽の下で日がな一日「天日くろめ」を手作業で行っていましたが、現在は電熱器等で熱を加えながら機械で撹拌する方法がほとんどです。今はまだ寒いので天日は無理、電熱器の熱で暖めながら撹拌は手作業で行うという方法をとりました。

精漆工場の関山さんの指導のもと、「なやし」「くろめ」の作業が始まります。昨年末に岩手県浄法寺から届いた日本産漆を桶に移し、今回は黒漆にするので、最初に酸化鉄を投入します。(漆に鉄分を入れると、主成分ウルシオールとの化学反応により黒色になります。)

 

天井から吊り下げた電熱器の下に桶を設置して、漆の様子を見ながらまんべんなく熱があたるように、木の櫂でゆっくりかき混ぜる作業をひたすら続けます。

漆くろめ

漆くろめ

暖めて撹拌していくうち、茶色だった漆が徐々に青みを帯びた黒色に変わってきました。

漆くろめ

ときどきガラス板に漆をつけて透かして見て、精製の進み具合を確認します。

漆くろめ

およそ2時間後、精製が終了しました。また桶に移し、この後ゴミを漉して上塗漆の出来上がりです。

漆くろめ

さて、自分たちの手で精製した漆での塗りは、どんな仕上がりになるでしょうか?きっと普段とはちょっと違ったものになるかもしれませんね。楽しみに待つことにします。

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